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GemMed塾 2024年度版ぽんすけリリース

2024年度診療報酬改定でも在宅医療・訪問看護の「質・量」双方の充実目指す、オンライン診療の「適正」実施推進—中医協総会(4)

2023.12.18.(月)

2024年度の診療報酬改定でも在宅医療・訪問看護について、「質・量」双方の充実を目指すとともに、効率性を踏まえた適正化を図ってはどうか。例えば「地域医療連携ネットワークも活用した複数医療機関による在宅医療提供」の評価充実、「退院当日の複数回訪問看護」の手厚い評価などを行う一方で、「訪問診療の回数が極めて多い医療機関」や「同一建物居住者への訪問が極めて多い訪問看護ステーション」について評価の引き下げを行ってはどうか—。

またオンライン診療について「適正な実施」をより強く求めると同時に、オンライン精神医療の評価を行ってはどうか—。

12月15日に開催された中央社会保険医療協議会・総会では、こうした議論も行われました(同日の「高齢の救急搬送患者への包括的な対応の評価」に関する記事はこちら、長期収載医薬品の患者特別負担に関する記事はこちら、入院時支援に関する記事はこちら)。

2024年度改定でも在宅医療の「質・量双方の充実」を目指す

在宅医療・訪問看護については、「質」の向上を目指した「積極的に在宅医療を行う医療機関、より充実した内容の在宅医療を行う医療機関の評価」、「量」の拡充を目指した「他院と連携して在宅医療を行う医療機関の評価」などが進められています(2022年度前回改定の記事はこちら)。

2024年度改定論議でもこうした点が意識され、すでに具体的な第2ラウンド論議が行われています(関連記事はこちら(在宅医療)こちら(訪問看護))。例えば「要介護度が高い在宅患者への訪問診療は高コストになるため、報酬の引き上げを考えてはどうか」、「極めて頻回な訪問看護を行う場合、療養費の適正化を行ってはどうか」といった議論が行われました。

12月15日の中医協総会では、こうした議論の中で、いわば「宿題」になっていた事項についてより具体的な検討を行いました。すでに一度議論された事項でもあり、厚生労働省保険局医療課の眞鍋馨課長から示された見直し方針と、中医協委員の意見を整理してみましょう。

▽要介護2以上、認知症高齢者の日常生活自立度IIb以上などへの在宅医療は高コストになる点を踏まえた【包括的支援加算】(在宅時医学総合管理料・施設入居時等医学総合管理料の加算)について、患者の状態に応じた、よりきめ細かな評価を実施する観点から対象患者の範囲を見直してはどうか(例えば、「要介護度」「日常生活自立度」別の訪問診療時間を見ると、「自立」で最も長い(=在宅医療提供コストが高い))
→この点について、「軽度要介護者、日常生活が自立している在宅要介護者でも、訪問診療時間に重度者と大きな違いはない。加算対象範囲の拡大は不要であろう」(診療側の長島公之委員:日本医師会常任理事)、「自立の在宅要介護者のほうが訪問診療時間が長く、要介護度、日常生活自立度を加算の評価軸とすることは好ましくない」(支払側の松本真人委員:健康保険組合連合会理事)との考えを示しています。

包括的支援加算などの概要(中医協総会(4)1 231215)

患者状態と訪問診療時間1(中医協総会(4)2 231215)

患者状態と訪問診療時間2(中医協総会(4)3 231215)



▽麻薬の経口投与を行っている患者では訪問診療が長い点を踏まえ、【包括的支援加算】の対象患者に加えてはどうか
→この見直し方向を診療側・支払側ともに了承しました。

患者状態と訪問診療時間3(中医協総会(4)4 231215)



▽「訪問診療の算定回数が多い(月500件以上)医療機関」の一部では「往診、看取りの実績」が少ないことを踏まえ、在宅療養支援診療所等の要件に「主として訪問診療・往診を実施する診療所」と同様の規定(下図表の赤囲み部分)を盛り込んではどうか
→この点について、支払側の松本委員は「効率的な訪問診療をおこなっている点に鑑み、在支診等の要件厳格化をおこなうべき」と提案したが、診療側の長島委員は「人口減により『集住化』が進む中では、訪問診療の件数が多くなることも必然だ。訪問診療件数が多い点だけに着目したペナルティで、在宅医療の担い手が減ってしまうことを危惧する」と反対しています。

訪問診療回数が多い医療機関では、看取り対応などが少ない(中医協総会(4)5 231215)

主として訪問診療等を行う診療所(いわば在宅専門医療機関)では、看取り等の実績在支診要件に求めている(中医協総会(4)6 231215)



▽「患者1人当たりの訪問診療の頻度が高い医療機関」の訪問診療患者の疾患等には高血圧症やアルツハイマー型認知症等が多いことを踏まえ、「複数回の訪問診療」の評価を見直してはどうか(例えば引き下げ方向が考えられる)
→この点について、支払側の松本委員は「『患者1人当たりの訪問診療の頻度が高い医療機関』では高血圧症やアルツハイマー型認知症等の患者を多く診ているが、そもそも本当に頻回の訪問が必要なのだろうか。訪問看護とも連携し、地域包括ケアシステムの中で対応することが重要で、訪問回数の厳格管理も必要であろう」と厳しい対応を進言。一方、診療側の長島委員は「高齢の患者は複数疾患を抱えているケースも多く、複数回の訪問が必要となる。もう少しデータを集積し、どの程度が『頻回な訪問、不適切な訪問』となるのかのエビデンスを構築してから要件厳格化などを考えるべき」と反論しています。

頻回な訪問診療を行う医療機関では、高血圧などの患者対応が多い(中医協総会(4)7 231215)



▽在宅医療における24時間の医療提供体制確保を更に推進する観点から、診療所等が訪問診療を行っている患者の急変時に、当該診療所等と連携している在支診等が「地域医療情報連携ネットワーク活用等により診療情報等を常に確認できる体制」の下で質の高い往診を実施した場合を評価してはどうか

▽診療所等においても、▼在支診等と常に診療情報等を共有できる体制を構築する▼定期的にカンファレンスを実施する—などして「質の高い連携体制を構築しながら24時間の在宅医療の提供体制を有している」場合には、在宅療養移行加算をより高く評価してはどうか

→こうした「在宅医療の裾野を広げる」提案に内容について、診療側・支払側双方が概ね了承。

在宅療養移行加算の概要(中医協総会(4)8 231215)



意見に若干の相違がある部分もありますが、今後、詳細な詰めを行っていくことになるでしょう。

退院当日の複数回訪問看護を評価、同一建物減算はより厳しく

また眞鍋医療課長は「訪問看護」についても、これまでの「宿題事項」について、より具体的な見直し方向を提示しました。委員の意見も踏まえて整理してみましょう。

▽「退院日当日の合計90分を超える複数回の訪問看護」について、実態(医師の指示や利用者・家族等の求めに応じて必要な医療処置や利用者の状態悪化への対応等を行っている)を踏まえた評価を行ってはどうか(現在は「1回の訪問で90分を超える」場合には退院支援指導加算が高く設定されているが、「複数回訪問の合計で90分を超える」場合でも高い加算算定を認めてはどうか)
→この点について、「複数回での長時間訪問についても加算で評価することが考えられる」(診療側の長島委員)、「末期がんなどに手厚い医療的処置などを行っていることが明らかになった。必要な評価を検討することに賛同する」(支払側の松本委員)、「末期がんなどで自宅看取りのために帰宅する者が急変した場合の対応などが必要であり、退院当日の複数回訪問は重要である」(木澤晃代専門委員:日本看護協会常任理事)など評価充実を行う点で中医協委員は一致している

退院当日の訪問看護の状況(中医協総会(4)9 231215)



▽「同一建物等居住者の割合」が極めて高い一部の訪問看護ステーションでは、効率的な訪問・管理が可能であること点などを踏まえ、訪問看護の評価を見直し(引き下げ)てはどうか
→この点について、支払側の松本委員は「『同一建物等居住者の割合』が極めて高い訪問看護ステーションの多くは営利法人立であり、訪問時間も短く、機能強化型取得の意向も低い。評価の適正化(引き下げ)を行うべき」と進言しましたが、診療側の長島委員は「不適切な訪問看護はまず審査で対応し、今後のオンライン請求義務化に伴って集積されるレセプトデータ分析を待ってから適正化の必要性を検討してはどうか」と慎重意見を述べています(『同一建物等居住者の割合』が極めて高い訪問看護ステーションでは、末期がんなどの重症患者など「頻回な訪問看護が必要な高齢者」を多く受け入れる介護住宅などに専門的に対応している可能性もある)。

同一建物居住者割合の多い訪問看護ステーションの状況1(中医協総会(4)10 231215)

同一建物居住者割合の多い訪問看護ステーションの状況2(中医協総会(4)11 231215)

同一建物居住者割合の多い訪問看護ステーションの状況3(中医協総会(4)12 231215)



このほか、訪問看護の運営について医療保険と介護保険との整合性を確保するために、▼身体的拘束等の原則禁止や記録に関する規定を医療保険にも設ける▼管理者のテレワークを可能とする▼ICTを活用した看取りの補助を評価する—といった方向が概ね了承されています(関連記事はこちら)。

オンラインでの精神診療、指針遵守を要件に認めるべきか

さらに12月15日の中医協総会では「オンライン診療」についても議論が行われ、次のような方向性が示されました。

▽オンライン診療に関する診療報酬の算定要件に「初診では向精神薬を処方しない旨をホームページ等に掲示する」ことなどを追加する

オンライン初診で、禁止されている向精神薬投与が行われている(中医協総会(4)13 231215)



▽厚生局へ届け出る「情報通信機器を用いた診療に係る報告書」において、「対面診療提供体制を把握する」ための工夫を行う

遠隔地へのオンライン診療が行われている(東京の事例)(中医協総会(4)14 231215)

遠隔地へのオンライン診療が行われている(大阪の事例)(中医協総会(4)15 231215)



▽「情報通信機器を用いた精神療法」について、「情報通信機器を用いた精神療法に係る指針」に沿って▼オンライン精神療法を実施する医師・医療機関は、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムに資するよう、地域における精神科医療の提供体制への貢献を行う▼精神科診療の一定の経験や資質を有する医師が診療を実施する—ことを要件に認めてはどうか

オンライン精神療法の指針(中医協総会(4)16 231215)



▽発達障害の初診待機が課題となっていること、発達障害に対するオンライン診療の有効性に関するエビデンス等が構築されてきていることなどを踏まえ、オンラインでの「小児特定疾患カウンセリング料」を認めてはどうか

発達障害へのオンライン診療は有効性が示されている(中医協総会(4)17 231215)



こうした見直し提案について診療側の長島委員は概ね賛同していますが、支払側の松本委員は「オンライン精神診療は、今回は小児発達障害障害について認め、成人への対応は極めて慎重に検討すべき」と注文を付けています。

今後、詳細を詰めていくことになります。



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電子カルテ標準化や医療機関のサイバーセキュリティ対策等の医療DX、診療報酬でどうサポートするか—中医協総会

日常診療・介護の中で「人生の最終段階に受けたい・受けたくない医療・介護」の意思決定支援進めよ!—中医協・介護給付費分科会の意見交換(2)
訪問看護の24時間対応推進には「負担軽減」策が必須!「頻回な訪問看護」提供への工夫を!—中医協・介護給付費分科会の意見交換(1)
急性期入院医療でも「身体拘束ゼロ」を目指すべきで、認知症対応力向上や情報連携推進が必須要素—中医協・介護給付費分科会の意見交換(2)
感染対策向上加算の要件である合同カンファレンス、介護施設等の参加も求めてはどうか—中医協・介護給付費分科会の意見交換(1)
要介護高齢者の急性期入院医療、介護・リハ体制が充実した地域包括ケア病棟等中心に提供すべきでは—中医協・介護給付費分科会の意見交換
2024年度の診療報酬に向け、まず第8次医療計画・医師働き方改革・医療DXに関する意見交換を今春より実施—中医協総会

2022年度改定での「在宅医療の裾野を広げるための加算」や「リフィル処方箋」など、まだ十分に活用されていない—中医協(1)