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GemMed塾 看護モニタリング

2022年度診療報酬改定、高度急性期は充実するが、中小の急性期病院には非常に厳しい―日病協・小山副議長

2022.2.28.(月)

2022年度の今回診療報酬改定は、厳しい改定財源の中で高度急性期入院医療へはかなりの充実がなされたが、2次救急医療を中心的に行う200床未満の急性期入院医療に対しては厳しいものとなった―。

もっとも、新設されるICU等の【重症患者対応体制強化加算】や、急性期一般1の【急性期充実体制加算】などについて現時点では詳細が明らかにっていない。3月上旬に示される告示・通知をしっかり見なければ「改定内容の評価」を行うことは難しい―。

2月25日の日本病院団体協議会・代表者会議後の記者会見において、小山信彌副議長(日本私立医科大学協会会業務執行理事)はこういった感想を述べています。

新設された各種加算、施設基準などの詳細をみなければ「評価」は難しい

日本病院団体協議会は、日本リハビリテーション病院・施設協会や日本私立医科大学協会、日本病院会など15の病院団体で構成される組織で、主に「診療報酬改定に向けて病院団体の意見をすり合わせ、共同提案・要望を行う」などの活動をしています(もちろん、診療報酬以外の医療の諸課題について議論を行っている)。

中央社会保険医療協議会が2月9日に2022年度診療報酬改定の答申を行ったことを受け、2月25日の日病協・代表者会議では改定内容に対する意見交換を行っています。

その中で浮上したのが、冒頭に述べた「高度急性期入院医療は充実が行われたが、200床未満の中小病院における急性期入院医療は厳しいものとなった」との感想です。

前者の高度急性期入院医療については、例えば▼専門性の高い看護師や臨床工学技士を手厚く配置し、重症患者対応を強化するICU等への【重症患者対応体制強化加算】(3日以内:750点、4-7日:500点、8―14日:300点を1日につき加算)の新設▼「入院時重症患者対応メディエーター」を配置し、医療職とともに患者・家族等に対して治療方針・内容等の理解および意向表明を支援する体制を敷くICU等への【重症患者初期支援充実加算】(1日につき300点を、入院日から起算して3日算定可)の新設▼急性血液浄化または体外式心肺補助(ECMO)を必要とする患者は25日、臓器移植を行った患者は30日にまで算定日数上限を延伸する▼【早期離床・リハビリテーション加算】【早期栄養介入管理加算】について算定対象ユニットを拡大する▼ICU用の看護必要度を見直す―などの手当てが行われます(関連記事はこちら)。

一方、急性期入院医療に関しては▼高度・専門医療を提供する病棟への【急性期充実体制加算】(7日以内:460点、8-11日:250点、12―14日:180点)を新設する▼看護必要度IIを許可病床数200床以上の急性期一般1に義務化する▼一般病棟用の看護必要度を見直す―などの手当てが行われます(関連記事はこちら)。

このうち一般病棟の看護必要度見直しは、▼A項目の「心電図モニター管理」を削除する▼A項目の「点滴ライン同時3本以上管理」を「点滴薬剤3種類以上」に定義変更する▼A項目の「輸液・血液製剤管理」を1点から2点に引き上げる―もので、厚生労働省の試算では「200床未満の中小規模病院において、現在の入院基本料取得が難しくなるケースが多い」ことが分かっています(関連記事はこちら)。このため、施設基準の1つである重症患者(看護必要度を満たす患者)割合の基準値を、例えば次のように「200床未満病院で緩和する」措置がとられますが、「中小病院にとって厳しい」状況そのものには変わりないようです(関連記事はこちら)。
【急性期一般1】
(現行)必要度I:31%以上、必要度II:29%以上

(見直し後)
▽許可病床数200床以上では必要度I:31%以上(看護必要度IIが義務化されるため経過措置としてのみ存在する)、必要度II:28%以上
▽許可病床数200床未満では必要度I:28%以上、必要度II:25%以上



もっとも、ICU等、急性期一般1の新加算(【重症患者対応体制強化加算】【重症患者初期支援充実加算】【急性期充実体制加算】)については、点数こそ明らかになっているものの、施設基準や算定要件の詳細が明らかになっていません。急性期充実体制加算については高い点数設定がなされており「相当程度の厳しい施設基準が設けられることになるのではないか。実際、どういった病院が算定できるのか?」という声も出ています。

こうしたことから小山副議長は「改定内容の評価については、3月上旬から示される告示・通知をしっかり読み込んだうえで行う必要がある」とコメントしています。



このほか、「地域包括ケア病棟など回復期入院医療では、多くの減算規定が盛り込まれた。病院の収益率は数%程度であり、10%、15%という減算規定は非常に厳しい」という声も代表者会議であがったことが小山副議長から紹介されました(関連記事はこちら)。



Gem Medでもお伝えしていますが、今回の2022年度診療報酬改定では「入院基本料や各種加算などにおいて求められる機能・役割を適切に果たす」ことが重視され、「求められる機能・役割を果たしていない場合には、事実上の『退場』宣告が行われている」ものと理解することができます。改定内容に一喜一憂せず「自院・自病棟に求められている機能・役割は何か、それを果たすために何をすべきか」を確認し直すことが重要です。



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