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GemMed塾 病院ダッシュボードχ 病床機能報告

電子カルテ情報共有サービス導入等評価する【医療DX推進体制整備加算】など新設、能登地方地震でも医療DXが真価発揮―中医協総会(5)

2024.1.29.(月)

Gem Medで報じているとおり、ついに2024年度の診療報酬改定に向けた「個別改定項目」、いわゆる「短冊」論議が始まりました。点数そのものや重要な基準値などは「●●」と表示されるにとどまりが、改定内容を相当程度伺うことも可能です。今後、2月上旬の答申に向けて大詰めの議論が行われていきます。

●短冊はこちら

1月26日の中医協総会では、短冊のうち(I)現下の雇用情勢も踏まえた人材確保・働き方改革等の推進(II)ポスト2025を見据えた地域包括ケアシステムの深化・推進や医療DXを含めた医療機能の分化・強化、連携の推進—について議論を行いました。次回以降、(III)安心・安全で質の高い医療の推進(IV)効率化・適正化を通じた医療保険制度の安定性・持続可能性の向上—に関する議論を行います。

極めて膨大な見直し項目が列挙されており、一度にその内容を紹介することは困難です。何回かに分けて短冊の内容を見ていくこととし、本稿では「医療DX関連」について短冊内容を眺めてみます。

▽急性期入院医療に関する記事はこちら(看護必要度、平均在院日数見直しは別稿で)
▽医療従事者の処遇改善に関する記事はこちら
▽高齢救急患者対応に関する記事はこちら
▽働き方改革に関する記事はこちら

サイバーセキュリティ対策の強化に向け、【診療録管理体制加算】を見直し

より質が高く効率的な医療・介護サービス提供を目指し、医療・介護などの情報を全国の医療機関等や介護施設・事業所、患者本人が共有する「医療DX」推進の動きが加速化しています。

例えば、▼患者本人、全国の医療機関等や介護施設・事業所で医療・介護などの情報を共有する基盤となる「全国医療情報プラットフォーム」の構築▼患者・各医療機関で電子カルテ情報を共有・閲覧可能とする「電子カルテ情報共有サービス」(2024年度から稼働)▼患者・各医療機関でレセプト情報を共有・閲覧可能とする「オンライン資格確認等システム」(すでに稼働中)▼処方箋を電子化しリアルタイムで重複投薬や併用禁忌などを確認できる「電子処方箋」(すでに稼働中)—などがあります。これらの仕組みは「すべての医療機関等が参加する」ことで効果を発揮できますが、システムの導入・運用には相応のコストがかかります。

こうした状況を踏まえ、厚生労働省保険局医療課の眞鍋馨課長は次のような対応を行う考えを示しています(関連記事はこちら)。

【医療情報・システム基盤整備体制充実加算】について次の見直しを行う
▼現在の「オンライン資格確認等システムの体制整備に評価する」加算から、「初診時等の診療情報・薬剤情報の取得・活用を評価する加算」へ見直す
・「十分な情報を取得」して初診・再診を行う場合に加算1(初診)・加算3(再診)を取得できる
・「オンライン資格確認等システムを活用して情報を取得」して初診・再診を行う場合に加算2(初診)・加算4(再診)を取得できる
▼名称を【医療情報取得加算】に変更する



▽オンライン資格確認により取得した診療情報・薬剤情報を実際に診療に活用可能な体制を整備し、また、電子処方箋・電子カルテ情報共有サービスを導入し、質の高い医療を提供する体制を確保する医療機関を、新設する【医療DX推進体制整備加算】として評価する
(施設基準)
▼レセプトオンライン請求を行っている
▼オンライン資格確認等を行う体制を有している
▼オンライン資格確認等システムを利用して取得した診療情報を、医師が診察室、手術室、処置室等で閲覧・活用できる体制を有している
▼電子処方箋発行体制を有している(経過措置あり)
▼電子カルテ情報共有サービスを活用できる体制を有している(経過措置あり、関連記事はこちら
▼マイナンバーカードの健康保険証利用実績を一定程度有している(経過措置あり)
▼「医療DX推進体制に関する事項、質の高い診療を実施するための十分な情報を取得・活用して診療を行う」ことを自院の見やすい場所に掲示している
▼上記掲示事項を原則としてウェブサイトに掲載している(経過措置あり)



▽在宅医療提供時に「居宅同意取得型のオンライン資格確認等システムや電子カルテ情報共有サービス、電子処方箋により得られる情報」を活用して質の高い医療提供を行うことを、新設する【在宅医療DX情報活用加算】で評価する
(対象患者)
▼在宅患者訪問診療料(I)の1算定患者
▼在宅患者訪問診療料(I)の2算定患者
▼在宅患者訪問診療料(II)算定患者
▼在宅がん医療総合診療料算定患者

(施設基準)
▼レセプトオンライン請求を行っている
▼オンライン資格確認等を行う体制を有している
▼電子処方箋発行体制を有している(経過措置あり)
▼電子カルテ情報共有サービスを活用できる体制を有している(経過措置あり、関連記事はこちら
▼「上記事項、質の高い診療を実施するための十分な情報を取得・活用して診療を行う」ことを自院の見やすい場所に掲示している
▼上記掲示事項を原則としてウェブサイトに掲載している(経過措置あり)



▽初回訪問時等に居宅同意取得型のオンライン資格確認等システムを用いて利用者の診療情報・薬剤情報を取得・活用して、指定訪問看護の実施に関する計画的な管理を行い、質の高い医療を提供する医療機関の訪問看護を、新設する【訪問看護医療DX情報活用加算】で評価する
(対象患者)
▼在宅患者訪問看護・指導料の算定患者
▼同一建物居住者訪問看護・指導料の算定患者
▼精神科訪問看護・指導料の算定患者

(施設基準)
▼レセプトオンライン請求を行っている
▼オンライン資格確認等を行う体制を有している
▼「上記事項、質の高い診療を実施するための十分な情報を取得・活用して診療を行う」ことを自院の見やすい場所に掲示している
▼上記掲示事項を原則としてウェブサイトに掲載している(経過措置あり)



▽指定訪問看護ステーションにおいて、居宅同意取得型のオンライン資格確認等システムを通じて利用者の診療情報を取得し、当該情報を活用 して質の高い医療を提供することを、新設する【訪問看護医療DX情報活用加算】で評価する
(対象患者)
▼訪問看護管理療養費を算定する者

(施設基準)
▼レセプトオンライン請求を行っている
▼オンライン資格確認等を行う体制を有している
▼「上記事項、質の高い診療を実施するための十分な情報を取得・活用して診療を行う」ことを自院の見やすい場所に掲示している
▼上記掲示事項を原則としてウェブサイトに掲載している(経過措置あり)



▽医療DX、医薬品の安定供給に資する取り組みの推進に伴い、処方箋を交付する場合の【在宅がん医療総合診療料】の点数を見直す



「救急用サマリ(救急時医療情報閲覧機能)」(意識不明等で救急搬送された患者に、適切な治療を行うために「過去のレセプト情報」のうち救急現場で必要な内容を、迅速に、例外的に本人同意なしに閲覧可能とする仕組み)の導入を【急性期充実体制加算】【総合入院体制加算1・2】【救命救急入院料1・2】において要件化する



▽へき地診療所・へき地医療拠点病院において「適切な研修を修了した医師がD to P with Nを実施できる」体制を確保している場合に、新設する【看護師等遠隔診療補助加算】(情報通信機器を用いた場合の再診料・外来診療料の加算)として評価する



【遠隔連携診療料】の対象患者に「指定難病患者」を追加する



▽睡眠時無呼吸症候群・慢性心不全患者に対し在宅で実施する呼吸療法を評価する【在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料】について、「情報通信機器を用いた診療を実施した場合の評価」を新設する



▽発達障害に対するオンライン診療を推進するため、【小児特定疾患カウンセリング料】に「情報通信機器を用いた診療を実施した場合の評価」を新設する



▽「情報通信機器を用いた精神療法に係る指針」を踏まえて実施する「情報通信機器を用いた通院精神療法」を新たに評価する
→この場合、初診患者には「向精神薬の処方」は認められず、その旨を医療機関ホームページなどに記載する



【診療録管理体制加算】について次の見直しを行う
▼サイバーセキュリティ対策が講じられるよう「専任の医療情報システム安全管理責任者の配置、院内研修の実施」を、現在「許可病床400床以上の医療機関」における本加算取得要件で求めているが、対象医療機関を拡大する(小規模医療機関にも義務化)
▼「医療情報システムのオフラインバックアップ体制の確保」、「『医療情報 システムの安全管理に関するガイドライン』に基づく業務継続計画(BCP)策定・訓練の実施」を取得要件に追加する



こうした見直し方向に対し、支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は「【医療情報・システム基盤整備体制充実加算】から【医療情報取得加算】への見直しについて、オンライン資格確認等システム導入がほぼ完了している点に鑑みて、点数引き下げを行うべきである。電子カルテ情報共有サービスが創設していない(2024年度中にモデル医療機関で先行実施し、2025年度中に本格稼働)中での【医療DX情報活用加算】は先行投資であり、『経過措置期間中のみ算定し、その後は算定しない』(電子カルテ情報共有サービスを導入しない医療機関で生じうる)という事態が生じないようにすべき。サイバーセキュリティ対策に相応のコストがかかることは理解できるが、診療報酬だけでなく補助金なども適切に組み合わせて対策すべき」と注文を付けるとともに、「医療DXについて、その効果を患者・国民が実感できるようにすべき」と訴えています。

これに対し診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)は「能登地方地震では1万2000件の診療情報照会が行われ、とりわけ過去の薬剤情報確認に大きな力を発揮している。DXの効果は大きい」とコメント。また【医療DX情報活用加算】については「確かに現在、システム構築中であるが、稼働開始時に迅速・円滑に導入可能なように、2024年6月から加算導入で手当てすべき。また経過措置については、システム開発・導入の状況をみて丁寧に設定してほしい」と訴えています。



なおGem Medでは改定セミナー動画も準備しております。是非、あわせてご活用ください。



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入院時食事療養費、昨今の食材費急騰を踏まえて「患者の自己負担」部分を引き上げへ—社保審・医療保険部会(1)
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2024診療報酬改定、救急医療管理加算の基準・急性期病棟での高齢者対応・看護必要度B項目などが重要論点—入院・外来医療分科会(2)
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急性期一般1で「看護必要度B項目の廃止」を検討、A項目の呼吸ケア・創傷処置等なども見直しへ―入院・外来医療分科会(1)
費用対効果評価が低いと判断された医薬品・医療機器、「費用対効果評価が対照技術と等しくなる」まで価格を下げるべきか―中医協
「要介護度が高い在宅患者への訪問診療の評価引き上げ」「高齢者施設への極めて頻回な訪問診療の評価適正化」など検討—中医協総会
2024年度診療報酬改定の基本方針論議続く、物価高騰対応の必要性言及を医療提供サイドは高く評価するが、費用負担者は効率化を強く要請
地域包括ケア病棟への入院料逓減制、障害者施設等での施設基準明確化、提出データ評価加算の要件見直しなど検討―入院・外来医療分科会(3)
2024年度診療報酬改定、「高齢者の救急搬送等」にどう対応すべきか、「かかりつけ医機能」をどう報酬で評価すべきか—中医協(2)
「日本国民に必要な医薬品でもドラッグラグ・ロス、高い薬価を設定し、それが維持される仕組みが必要」と医薬品団体―中医協・薬価専門部会
医療機器等のチャレンジ申請、「保険適用後にも一定の期間」申請可能に―中医協・材料部会
「働きながらがん治療を継続できる」環境整備に向け、化学療法の外来移行、栄養指導等を強力に推進―入院・外来医療分科会(3)
回復期リハ病棟での栄養・口腔管理推進、療養病棟の医療区分細分化、入院全般での身体拘束ゼロ等などが重要論点―入院・外来医療分科会(2)
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費用対効果評価に基づく価格調整をより広範囲にすべきか、介護費用削減効果を医薬品・医療機器の価格に反映させるべきか―中医協
コロナ診療報酬特例、コロナ感染拡大の状況・医療現場の効率的診療状況踏まえて「点数を引き下げて継続する」方向で調整—中医協総会
医師働き方改革効果あるプログラム医療機器、メーカー側は「加算評価」を求めるも、中医協委員は「理解できない」と反論―中医協・材料部会
診療報酬改定のない年の薬価改定(中間年改定)、医薬品供給やドラッグラグ・ロスへの影響も見ながら在り方を検討―中医協・薬価専門部会
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がん化学療法の外来移行、「栄養指導」や「仕事と治療との両立支援」などと一体的・総合的に進めよ―入院・外来医療分科会(1)
高額な医薬品・医療機器など、より迅速かつ適切に費用対効果評価を行える仕組みを目指せ、評価人材の育成も急務―中医協
新薬創出等加算の企業要件には「相当の合理性」あり、ドラッグ・ラグ/ロスで日本国民が被る不利益をまず明確化せよ―中医協・薬価専門部会
在宅医療ニーズの急増に備え「在宅医療の質・量双方の充実」が継続課題!訪問看護師の心身負担増への対応も重要課題—中医協総会
入院医療における「身体拘束の縮小・廃止」のためには「病院長の意識・決断」が非常に重要―入院・外来医療分科会(3)
地域包括ケア病棟、誤嚥性肺炎等の直接入棟患者に「早期から適切なリハビリ」実施すべき―入院・外来医療分科会(2)
総合入院体制加算から急性期充実体制へのシフトで地域医療への影響は?加算取得病院の地域差をどう考えるか―入院・外来医療分科会(1)
「特許期間中の薬価を維持する」仕組み導入などで、日本の医薬品市場の魅力向上を図るべき―中医協・薬価専門部会
乳がん再発リスクなどを検出するプログラム医療機器、メーカーの体制など整い2023年9月から保険適用―中医協総会(2)
高齢患者の急性期入院、入院後のトリアージにより、下り搬送も含めた「適切な病棟での対応」を促進してはどうか—中医協総会(1)
2024年度の薬価・材料価格制度改革論議始まる、医薬品に関する有識者検討会報告書は「あくまで参考診療」—中医協総会(3)
マイナンバーカードの保険証利用が進むほどメリットを実感する者が増えていくため、利用体制整備が最重要—中医協総会(2)
かかりつけ医機能は「地域の医療機関が連携して果たす」べきもの、診療報酬による評価でもこの点を踏まえよ—中医協総会(1)
2024年度の診療報酬・介護報酬・障害福祉等サービス報酬の同時改定で「医療・介護・障害者福祉の連携強化」目指せ—中医協総会(2)
医師働き方改革サポートする【地域医療体制確保加算】取得病院で、勤務医負担がわずかだが増加している—中医協総会(1)
患者・一般国民の多くはオンライン診療よりも対面診療を希望、かかりつけ医機能評価する診療報酬の取得は低調―入院・外来医療分科会(5)
医師働き方改革のポイントは「薬剤師へのタスク・シフト」、薬剤師確保に向けた診療報酬でのサポートを―入院・外来医療分科会(4)
地域包括ケア病棟で救急患者対応相当程度進む、回復期リハビリ病棟で重症患者受け入れなど進む―入院・外来医療分科会(3)
スーパーICU評価の【重症患者対応体制強化加算】、「看護配置に含めない看護師2名以上配置」等が大きなハードル―入院・外来医療分科会(2)
急性期一般1で「病床利用率が下がり、在院日数が延伸し、重症患者割合が下がっている」点をどう考えるべきか―入院・外来医療分科会(1)

総合入院体制加算⇒急性期充実体制加算シフトで産科医療等に悪影響?僻地での訪問看護+オンライン診療を推進!—中医協総会
DPC病院は「DPC制度の正しい理解」が極めて重要、制度の周知徹底と合わせ、違反時の「退出勧告」などの対応検討を—中医協総会
2024年度の費用対効果制度改革に向けた論議スタート、まずは現行制度の課題を抽出―中医協
電子カルテ標準化や医療機関のサイバーセキュリティ対策等の医療DX、診療報酬でどうサポートするか—中医協総会

日常診療・介護の中で「人生の最終段階に受けたい・受けたくない医療・介護」の意思決定支援進めよ!—中医協・介護給付費分科会の意見交換(2)
訪問看護の24時間対応推進には「負担軽減」策が必須!「頻回な訪問看護」提供への工夫を!—中医協・介護給付費分科会の意見交換(1)
急性期入院医療でも「身体拘束ゼロ」を目指すべきで、認知症対応力向上や情報連携推進が必須要素—中医協・介護給付費分科会の意見交換(2)
感染対策向上加算の要件である合同カンファレンス、介護施設等の参加も求めてはどうか—中医協・介護給付費分科会の意見交換(1)
要介護高齢者の急性期入院医療、介護・リハ体制が充実した地域包括ケア病棟等中心に提供すべきでは—中医協・介護給付費分科会の意見交換
2024年度の診療報酬に向け、まず第8次医療計画・医師働き方改革・医療DXに関する意見交換を今春より実施—中医協総会

2022年度改定での「在宅医療の裾野を広げるための加算」や「リフィル処方箋」など、まだ十分に活用されていない—中医協(1)