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コロナ重症患者増で「プロポフォール」供給が逼迫、必要量のみの購入、揮発性吸入麻酔薬使用など考慮を―厚労省

2021.5.20.（木）

新型コロナウイルス感染症の重症患者増加に伴い、人工呼吸中の鎮静に用いる「プロポフォール製剤」の需要が急速に高まり、出荷調整が行われている（欠品の恐れも）。当面、「プロポフォール製剤」は必要量のみを購入し、また臨床上の問題がなければ、「麻酔の維持においては揮発性吸入麻酔薬の使用を考慮」するなどしてほしい―。

厚生労働省は5月14日に事務連絡「プロポフォール製剤が安定供給されるまでの対応について（周知依頼）」を示し、医療機関等に協力を要請しました。

麻酔の維持では、揮発性吸入麻酔薬の使用を考慮してほしい

新型コロナウイルス感染症の猛威は衰えるところを知らず、我が国にも感染力の強い変異株による「第4波」が到来し、東京や大阪などで緊急事態宣言がみたび発せられました。さらに、政府は緊急事態宣言の期間を延長するとともに、対象地域を拡大。併せて「蔓延防止等重点措置」の対象も順次拡大しています。そうした中では、依然として「感染防止策の徹底」と「医療提供体制の確保」が最重要施策となることは述べるまでもありません。

医療提供体制に関しては、とりわけ重症患者において人工呼吸器やECMO（体外式膜型人工肺）による呼吸管理が必要となることから、非常に手厚い人員配置が必要となります。例えば、東京医科歯科大学病院では重症者には「1対2看護」（通常のICUでは2対1看護であることから、4倍の人員配置を行っている）という非常に手厚い人員体制を敷いています。

ところで、人工呼吸器やECMOによる呼吸管理を行う際には患者の鎮静が必要となり、そこでは鎮静剤の「プロポフォール製剤」が多く用いられます。重症患者の増加に伴って「プロポフォール製剤」の需要が急速に増加し、メーカーサイドが出荷調整を行っていますが、それでも追いつかず、集中医療現場で「欠品」が生じ始めているといいます。

そこで日本集中医療医学会では、当面▼プロポフォール静注1％50ｍL「マルイシ」はICUでの使用を優先し、手術室での使用は極力控える▼手術室ではプロポフォール静注1％20ｍL「マルイシ」を使用し、臨床上問題なければ「麻酔の維持は揮発性吸入麻酔薬を考慮する」—などの対応を行うことを提言。

さらに厚労省も、プロポフォール製剤の安定供給が再開されるまでの間、次のような対応をとるよう医療現場に要請しました。

▽プロポフォール製剤および代替薬（ミダソラムなど）について、返品が生じないように「必要量に見合う量」のみの購入をお願いする

▽プロポフォール製剤および代替薬（ミダソラムなど）について、医療機関における「より一層の適正使用」をお願いする。例えば、臨床上問題なければ「麻酔の維持においては揮発性吸入麻酔薬の使用を考慮」してほしい