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2024年度の次期診療報酬、「入院・外来医療分科会」で入院医療・働き方改革・かかりつけ医機能など広範な議論―中医協総会

2022.5.18.(水)

2022年度の今回診療報酬改定における「答申附帯意見」(言わば次期改定へ宿題事項)を踏まえ、どのテーマをどの場で議論するかを確定する(ただし柔軟に運用)。例えば「入院・外来医療等に関する調査・評価分科会」では、▼入院医療の諸課題▼医師働き方改革▼かかりつけ医機能を含めた外来医療の諸課題▼感染対策—などの技術的検討を行い、最終的に中央社会保険医療協議会・総会で見直し内容を確定する―。

5月18日に開催された中央社会保険医療協議会・総会で、こういった方針が固められました。早くも2024年度の次期診療報酬改定(介護報酬との同時改定)に向けた議論が動き出しています。

2024年度の次期診療報酬改定に向けて「宿題事項」を検討する場などを整理

2月2日の中医協総会では、2024年度の次期改定以降に向けた宿題事項と言える「答申附帯意見」の取りまとめを行いました。

原則として2年に一度行われる診療報酬改定は、「医療現場の課題解決」を大きな目的の1つとしています(このほかに「医療機関等の収益を物価・賃金動向にマッチするように調整したり、新規医療技術の保険適用なども重要な目的となる)。しかし、一回の改定ですべての課題を解決できるわけではなく、大きな見直しを行った場合には、その後の状況を調べ「改定の意図・趣旨に沿った効果が現れているか」を確認する必要もあります。

そこで中医協総会では、「附帯意見」として次期改定に向けた宿題事項を整理しているのです。

2024年度の次期診療報酬改定に向けては、例えば次のような内容を盛り込んだ附帯意見が取りまとめられました(関連記事はこちら)。

●附帯意見はこちら

◆入院医療
▽急性期・高度急性期医療をより集中的・効率的に提供する体制について、「入院患者のより適切な評価指標や測定方法」など入院料の評価の在り方等を引き続き検討する

▽回復期入院医療、慢性期入院医療について、求められる役割の更なる推進や提供されている医療の実態を反映する観点から入院料の評価の在り方等を引き続き検討する

▽DPC、短期滞在手術等基本料について、医療の質の向上と標準化に向け、診療実態を踏まえた更なる包括払いの在り方について引き続き検討する

◆かかりつけ機能、生活習慣病等
▽かかりつけ医機能の評価について、医療計画見直し論議も踏まえながら、専門医療機関との機能分化・連携強化に資する評価の在り方等を引き続き検討する。

▽紹介状なしで受診する場合等の定額負担、紹介受診重点医療機関の入院医療の評価等を踏まえ、外来医療の機能分化・強化、連携の推進に向けた検討を引き続き行う

▽処方箋の様式・処方箋料の見直しなど「リフィル処方箋の導入に係る取り組み」について、適切な運用や活用促進策を引き続き検討する

▽オンライン診療について、運用上の課題が把握された場合は速やかに必要な対応を検討するとともに、▼診療の有効性等に係るエビデンス▼実施状況▼医療提供体制への影響—などを踏まえ、適切な評価の在り方等について引き続き検討する

◆働き方改革
▽医師の働き方改革の推進や、看護補助者の活用、夜間における看護業務の負担軽減、チーム医療の推進に係る診療報酬上の見直しなどを踏まえ、実効性のある適切な評価の在り方等を引き続き検討すること

◆在宅医療等
▽拡大と質の向上に向け、適切な評価の在り方を引き続き検討する

◆医療技術の評価
▽診療ガイドライン等に基づく質の高い医療を進める観点から、▼診療ガイドライン改訂▼レジストリ―などのリアルワールドデータの解析結果を把握し、それらを踏まえた適切な医療技術の評価・再評価を継続的に行えるよう、医療技術の評価のプロセスも含めて引き続き検討する

▽革新的な医療機器や検査等のイノベーションを含む先進的な医療技術について、迅速かつ安定的に患者へ供給・提供させる観点も踏まえ、有効性・安全性に係るエビデンスに基づく適切な評価の在り方を引き続き検討する

◆その他
▽新型コロナウイルス感染症への対応に引き続き取り組みつつ、新興感染症等にも対応できる医療提供体制の構築に向け、【感染対策向上加算】【外来感染対策向上加算】などを含めた診療報酬上の対応の在り方を引き続き検討する

▽オンライン資格確認システムを通じた患者情報等の活用について、導入状況も踏まえ評 価の在り方を引き続き検討する

▽不妊治療について、学会等における治療方法や情報提供等に関する検討状況を迅速に把握しつつ、適切な評価・情報提供の在り方等を引き続き検討する



5月18日の中医協総会では、厚生労働省保険局医療課の井内努課長が「これらの検討テーマを、どういった場で議論していくか」を整理。すべての事項について「最終決定は中医協総会で行う」ことは述べるまでもありませんが、例えば、▼入院医療の諸課題、医師働き方改革、感染対策、かかりつけ医機能を含めた外来医療の諸課題などを「入院・外来医療等に関する調査・評価分科会」で技術的検討を行う▼在宅医療については、従前どおり「診療報酬改定結果検証部会」で状況調査を行い、その後、中医協総会で具体的な議論を行う▼リフィル処方箋の導入に関する影響調査は「診療報酬改定結果検証部会」で行う▼オンライン資格確認等システムを通じた患者情報等の活用についても「診療報酬改定結果検証部会」で検証していく—ことなどが示され、了承されました。「入院・外来医療等に関する調査・評価分科会」での検討事項が大幅に増加しており(入院だけでなく、外来も検討テーマとなっている)、注目度が高まっていきます(厚労省のサイトはこちら)。

関連して、今後の議論に向けて▼「診療報酬改定の効果・影響」と「新型コロナウイルス感染症の影響」との切り分けなども、適切な調査結果を踏まえて議論できるように進めてほしい(城守国斗委員:日本医師会常任理事)▼コロナ感染症対応の「特例」についても検証を行ってほしい(松本真人委員:健康保険組合連合会理事)▼オンライン資格確認等システムを活用した患者情報等活用について、マイナンバーカードの普及状況なども踏まえて議論できるように準備を進めてほしい(安藤伸樹委員:全国健康保険協会理事長)—などの注文がついています。

今後、こうした注文・意見なども踏まえて、2024年度の次期改定論議が進められていきます。

多発性硬化症の進行抑制等に用いる「ケシンプタ」、在宅自己注射指導管理の対象薬剤に

また5月18日の中医協総会では、▼新たな臨床検査の保険適用(後述)▼新薬の保険適用(14成分・18品目を5月25日に薬価基準に収載する)▼在宅自己注射指導管理料の対象薬剤追加—などを了承しています。

在宅自己注射に関してはリスクも伴うため、医師による「患者が薬剤を自己注射するにあたって必要な留意点」などの指導管理をC101【在宅自己注射指導管理料】として評価するとともに、対象薬剤(注射薬剤)を厚生労働大臣が規定(限定)しています。

対象薬剤は、「関連学会等が、ガイドライン等で在宅自己注射を行うことについての診療上の必要性が確認されている」などの要件に合致しているかを中央社会保険医療協議会で確認したうえで追加されていきます。追加の時期については、現下の新型コロナウイルス感染症の流行(感染拡大防止等のために医療機関受診を控えるケースが増えている点など)を踏まえて次のようなルールが設けられています。

▽新薬のうち「14日未満の間隔で注射を行う」ものは、要件を満たす場合に、原則、薬価収載の時期にあわせて対象薬剤への追加を検討する

▽新薬のうち「14 日以上の間隔をあけて注射を行う」ものは、事実上「14日以内毎に医療機関を受診する」こととなるため、14 日を超える投薬が可能になった後に対象薬剤への追加を検討する(新薬は、原則、薬価収載から1年間は、投薬期間が14日に制限される)

▽コロナ感染症が拡大している間、新薬以外の医薬品について要件を満たす場合で、学会からの要望があった場合は、原則として新薬の薬価収載の時期にあわせた対象薬剤への追加を検討する(関連記事はこちら

今般、▼再発寛解型多発性硬化症▼疾患活動性を有する二次性進行型多発性硬化症—の再発予防・身体障害の進行抑制に用いる「オファツムマブ(遺伝子組換え)」(販売名:ケシンプタ皮下注20mg)(初回・1週間後・2週間後・4週間後に皮下注射し、以降は3週間間隔で皮下注射)について、日本神経免疫学会からの「治験結果からは自己投与による有効性・安全性での懸念はみられない」「患者通院の負担が大きい」などの状況報告を踏まえ、今般の中医協総会で在宅自己注射指導管理料の対象薬剤への追加が承認されました。近く関係告示・通知等の見直しが行われます。

なお、「兵庫県立姫路循環器病センター」(DPC病床300床)と「製鉄記念広畑病院」(DPC病床336床)との合併による「兵庫県立はりま姫路総合医療センター」(DPC病床736床)についてDPC制度への参加継続が報告されています。



【新たに保険適用される臨床検査】(2022年6月保険適用予定)
▽百日咳菌・パラ百日咳菌核酸同時検出(360点、D023【微生物核酸同定・定量検査】の「12 百日咳菌核酸検出、肺炎クラミジア核酸検出」を準用)

▽膣トリコモナス及びマイコプラズマ・ ジェニタリウム同時核酸検出(350点、D023【微生物核酸同定・定量検査】の「10 HPV核酸検出」を準用)

▽黄色ブドウ球菌ペニシリン結合蛋白2’(PBP2’)検出(291点、D012【感染症免疫学的検査】の「53 結核菌群抗原定性」を準用)



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多種類薬剤を処方された患者への指導管理を調剤報酬で評価すべきか、減薬への取り組みをどう評価するか―中医協総会(3)
専門医→主治医への難病等情報提供、主治医→学校医等への児童アレルギー情報提供を診療報酬で評価へ―中医協総会(2)
外来がん化学療法・化学療法患者への栄養管理・遺伝子パネル検査・RI内用療法を診療報酬でどう推進すべきか―中医協総会(1)
かかりつけ医機能の推進、医療機関間の双方向の情報連携を診療報酬でどうサポートしていけば良いか―中医協総会
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ICU用の看護必要度B項目廃止、救命救急入院料1・3の評価票見直し(HCU用へ)など検討へ―入院医療分科会(4)
DPC外れ値病院、当面は「退出ルール」設定でなく、「診断群分類を分ける」等の対応検討しては―入院医療分科会(3)
心電図モニター等を除外して試算し、中医協で「看護必要度から除外すべきか否か」決すべき―入院医療分科会(2)
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2022年度の入院医療改革、例えば救急医療管理加算の基準定量化に踏み込むべきか、データ集積にとどめるべきか―中医協
看護必要度等の経過措置、今後のコロナ拡大状況を踏まえて、必要があれば拡大等の検討も―中医協総会(2)
看護必要度やリハビリ実績指数などの経過措置、コロナ対応病院で来年(2022年)3末まで延長―中医協・総会(1)
看護必要度見直し、急性期入院の新評価指標、救急医療管理加算の基準定量化など2022改定で検討せよ―入院医療分科会
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適切なDPC制度に向け、著しく「医療資源投入量が少ない」「自院の他病棟への転棟が多い」病院からヒアリング―入院医療分科会(2)
看護必要度II病院で重症患者割合が増、コロナ対応病院よりも「未対応」病院で重症患者割合増が顕著―入院医療分科会(1)
不妊治療の方法・費用に大きなバラつき、学会ガイドライン踏まえ「保険適用すべき不妊治療技術」議論へ―中医協総会(3)
2022年度診療報酬改定論議、コロナ感染症の影響など見据え7・8月に論点整理―中医協総会(1)

医療部会も2022年度改定基本方針案を了承、12月10日の中医協に報告されるが正式諮問は年明けに—社保審・医療部会(1)
2022年度改定基本方針を了承、医療提供体制改革・医師働き方改革が重点課題—社保審・医療保険部会
2022年度診療報酬改定の基本方針策定は目前、オンライン資格確認稼働から1か月間の状況は―社保審・医療保険部会
2022年度診療報酬改定、「強固な医療提供体制の構築」「医療従事者の働き方改革」が重点課題―社保審・医療部会
かかりつけ医制度化を検討すべきか、感染症対策と医療提供体制改革はセットで検討を―社保審・医療保険部会(1)
平時に余裕のない医療提供体制では有事に対応しきれない、2022年度診療報酬改定での対応検討を―社保審・医療部会(1)
コロナ感染症等に対応可能な医療体制構築に向け、2022年度診療報酬改定でもアプローチ―社保審・医療保険部会(2)
「平時の診療報酬」と「感染症蔓延時などの有事の診療報酬」を切り分けるべきではないか―社保審・医療部会
診療報酬で医療提供体制改革にどうアプローチし、医師働き方改革をどうサポートするか―社保審・医療保険部会(1)