宿日直許可を受けた医師を配置するICUの低い特定集中治療室管理料5・6、現場実態を踏まえない改悪―全自病、小熊会長・望月副会長(1)
2024.2.9.(金)
2024年度診療報酬改定では、「宿日直許可を受けた医師を配置するICU」について低い点数となる【特定集中治療室管理料5・6】が新設されるが、これは現場実態を踏まえない改悪である—。
高齢の救急搬送患者に包括対応する【地域包括医療病棟入院料】が新設され、例えば看護必要度や平均在院日数の基準をクリアできない7対1病棟(急性期一般1)からの移行等が想定され、期待を持ってみているが、一方で「ぎっくり腰など軽症の高齢患者でいっぱいになる」こと、「リハビリ専門職の争奪戦が生じつ」ことなども懸念され、今後の運用状況を注視していく必要がある—。
全国自治体病院協議会の定例記者会見が2月8日に開催され、小熊豊会長(砂川市立病院名誉院長)や望月泉副会長(八幡平市病院事業管理者兼八幡平市立病院統括院長)からこういった考えが示されました。なお、同日には能登地方地震で被災した病院への全自病による支援状況なども報告されており、これらは別稿で報じます。
高齢者救急に対応する【地域包括医療病棟】、人員確保や軽症患者対応などを懸念
Gem Medで報じているとおり、2月7日に開催された中央社会保険医療協議会・総会で、2024年度診療報酬改定に関する議論が終了し、あとは「答申」を待つのみとなっています。
●短冊(更新版)はこちら
▽急性期入院医療に関する記事はこちら(看護必要度、平均在院日数見直しは別稿で)
▽高齢救急患者対応に関する記事はこちら
▽医療従事者の働き方改革に関する記事はこちら
▽医療DXに関する記事はこちら
▽一般病棟用の看護必要度・急性期一般1の平均在院日数に関する記事はこちら
▽医療従事者の処遇改善に関する記事はこちら
▽高度急性期入院医療に関する記事はこちら
▽回復期入院医療に関する記事はこちら
▽がん対策に関する記事はこちら
▽生活習慣病管理に関する記事はこちら
▽各種入院料・加算の看護必要度該当患者割合に関する記事はこちら
▽附帯意見に関する記事はこちら
▽HUC看護必要度に関する記事はこちら
2月8日に開かれた全自病の定例記者会見では、小熊会長や望月副会長から例えば次のような「短冊へのコメント」が示されました。もちろん、まだ点数や詳細な基準は明らかになっておらず、現時点での感想にとどまることには留意する必要があります。
【全体について】
▽0.88%の本体プラス改定が行われるが、うち0.61%分は医療従事者の処遇改善にすべてを充てることになる
▽物価高騰、光熱水費高騰は続いており、病院、とりわけ急性期病院には厳しい状況が続いており、状況を注視する必要がある
【ICUについて】
▽ ICU(特定集中治療室管理料)について、▼ICU1-4について、「治療室内に常時勤務する専任の医師」は「宿日直を行う医師ではない」「治療室勤務時間帯 は、治療室以外での勤務・宿日直を併せて行ってはならない」ことを明確化する▼ICU5・6を新設し、こちらでは「治療室内に常時勤務する専任の医師」の中に「宿日直を行う医師」を含めることを認める(遠隔ICU支援の加算あり)—という区分けが行われるが、これは診療実態を無視した改悪である
▽宿日直許可を得ていない医師でも、患者の状態が安定していれば仮眠などの休息をとることもあり、「宿日直許可の有無」=「勤務内容の軽重」ではない
▽ICU5・6による減収を避けるために「宿日直許可を取得せず、翌日に夜勤医師に代休を取得させる」病院も出てくる可能性があるが、これは「医師働き方改革」に逆行するのではないか
【地域包括医療病棟】
▽高齢の救急搬送患者に対し包括的な対応を行う病棟を、新たに【地域包括医療病棟入院料】で評価することになり、例えば一般病棟用の看護必要度の厳格化、急性期一般1の平均在院人数基準短縮などにより、施設基準を満たせなくなった7対1(急性期一般1)病棟などの受け皿の役割も果たすことに期待しているが、病棟にリハビリ専門職や管理栄養士配置などが求められ、「人件費を賄える点数設定」がなされるのか心配であり、また「リハビリ専門職の争奪戦」も懸念している
▽新病棟が「ぎっくり腰患者」などであふれることも懸念され、今後の運用状況を注視していく必要がある
【救急搬送患者の評価充実について】
▽地域包括ケア病棟の初期加算引き上げなど、救急搬送患者の評価充実がなされ、救急患者の受け入れが円滑になると期待される
▽病院サイドが「救急車での搬送」を求めることはない。しかし、「軽症患者の救急車利用」が増えている状況は改善する必要があり、診療報酬とは別の対策を検討していくべきであろう
なおGem Medでは改定セミナー動画も準備しております。是非、あわせてご活用ください。
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2024年度薬価制度改革論議が佳境、不採算品再算定は、乖離率の大きなものは除外して「申請品目すべて」を対象に—中医協・薬価専門部会
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認知症治療薬「レケンビ」(レカネマブ)、200mgは4万5777円、500mgは11万4443円の薬価、1人当たり298万円の薬剤費に—中医協総会(1)
2024年度診療報酬改定の基本方針を決定、「医療人材の確保・働き方改革等の推進」重点課題に据える
【生活習慣病管理料】、療養計画書簡素化による医師負担軽減、月1回以上診療実施要件緩和による患者負担軽減を図る—中医協総会(2)
「長期収載品」と「最も高い後発品」との価格差の「2分の1以下」を選定療養(患者負担)とせよ—社保審・医療保険部会(1)
食材費等の高騰踏まえ、入院時の食費について「患者の自己負担」部分を1食につき30円アップ—中医協総会(1)
2024年度の薬価制度改革論議が大詰め、新薬創出等加算の企業要件廃止で「日本市場の魅力回復」と業界サイドが期待—中医協・薬価専門部会
新興感染症に対応する協定締結医療機関の枠組みを【感染対策向上加算】等に盛り込め、抗菌薬適正使用の実績も評価せよ—中医協総会(3)
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転院搬送評価する【救急搬送診療料】で「平時からの連携+搬送」要件化すべきか、救急医療管理加算の対象患者限定すべきか—中医協総会(1)
「長期収載品」と「最も高い後発品」との価格差の一部を選定療養(患者負担)に—中医協総会(5)
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「リハビリ、栄養管理、口腔管理の一体的実施」を診療報酬でも強力に推進、医療・介護間のリハビリ・栄養情報共有が重要—中医協総会(3)
医療機関等のサイバーセキュリティ対策を「加算などで評価」すべきか、「加算など設けず義務化」すべきか—中医協総会(2)
医薬品は6.0%、材料は2.5%の価格乖離、「薬価の実勢価格改定」全体で1150億円程度の国費縮減可能では―中医協総会(1)
「長期収載品と後発品との価格差の一部」の選定療養(患者負担)化、医療上の必要性や後発品供給への配慮も必要—社保審・医療保険部会
敷地内薬局への個別対応はせず、敷地内薬局を持つ薬局グループ全体で低い調剤基本料を設定してはどうか—中医協総会(2)
「認知症入院患者等の身体拘束最小化」「かかりつけ医の認知症対応力の底上げ」など、診療報酬でどう進めるべきか—中医協総会(1)
がん患者・非がん患者・小児患者の特性を踏まえた「身体的苦痛・精神的苦痛の緩和」を診療報酬でもさらに推進―中医協総会(4)
「長期収載品と後発品との価格差の一部」を患者負担(選定療養)に、対象薬剤や自己負担水準などをどう考えるか―中医協総会(3)
データ数が少ない・適切なデータ提出できない病院はDPCから退出へ、入院期間Iでコスト回収できる新点数ルールを検討―中医協総会(2)
2022年度の前回診療報酬改定後に一般病院経営は「悪化、大きな医業赤字」、無床クリニックは「改善、大きな医業黒字」—中医協総会(1)
後発医薬品の供給不安が続く中で「後発品の使用促進」をどう図るか、バイオ医薬品の使用促進に向けた報酬を充実―中医協総会(2)
療養病棟の医療区分を細分化、「リハビリの上限設定、中心静脈栄養の評価制限」などをどう考えるべきか―中医協総会(1)
2プログラム医療機器「どのような点を、どのように評価するのか」明確化、医療上必要な医療機器の価格下支えルールを検討―中医協・材料部会
安定供給に注力するメーカーの後発品を「価格下支え」などで評価、多品目少量生産解消を目指した後発品薬価対応も―中医協・薬価専門部会
診療所の良好な経営状況に鑑み、2024年度診療報酬改定では「診療所は5.5%のマイナス改定」が妥当!―財政審建議
認知症治療薬「レケンビ」(レカネマブ)、通常ルールで薬価算定し、薬価基準収載後の「特別の薬価調整」は販売実績踏まえて判断—中医協
「不妊治療の保険適用」は効果をあげているが「年齢・回数制限の見直し」求める声も、凍結胚の維持管理期間を延長してはどうか—中医協総会
地域医療体制確保加算について支払側が廃止を求めるが診療側が猛反発、勤務間インターバルを報酬要件に盛り込むべきか—中医協総会(3)
回復期リハビリ病棟での運動器リハビリ算定上限をどう考えるか、身体拘束ゼロにどう取り組んでいくべきか—中医協総会(2)
地域包括ケア病棟、救急患者の受け入れ・介護サービス等との連携などさらに強化、入院料逓減制は意見割れる—中医協総会(1)
入院時食事療養費の「患者の自己負担」部分引き上げ、中医協でも賛意示される—中医協総会(2)
「優れた医薬品を早くいち日本で保険適用してもらう」ためのインセンティブ新設、補正加算も改善へ―中医協・薬価専門部会
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「医療人材の賃金アップ」を診療報酬で手当てすべきか、するとして「医療現場の柔軟対応」を可能な仕組みとすべきでは—社保審・医療部会
2024年度診療報酬改定では「医療人材の確保」を重点課題に据える、国保の賦課限度額を106万円に引き上げ—社保審・医療保険部会
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訪問看護の機能強化と同時に不適切事例の適正化・効率的なサービス提供も進めよ、退院当日の複数回訪問看護も適切に評価—中医協総会(2)
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医師少数区域等の脳卒中患者へ、迅速にtPA静脈注射療法・血栓回収療法を実施可能とする診療報酬上の手当てを検討—中医協総会(2)
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2024診療報酬改定、救急医療管理加算の基準・急性期病棟での高齢者対応・看護必要度B項目などが重要論点—入院・外来医療分科会(2)
看護職員処遇改善、「独自の+α」を行う病院もある、6割超の病院で看護職「以外」の処遇改善も実行―入院・外来医療分科会(1)
勤務医の労働時間上限規制が2024年度から厳格される中、「救急医療体制の確保」が極めて重大な課題となる―入院・外来医療分科会(3)
「データ数が少ない」「適切なデータ提出が行えない」病院は、DPC制度からの退出を求めてはどうか―入院・外来医療分科会(2)
急性期一般1で「看護必要度B項目の廃止」を検討、A項目の呼吸ケア・創傷処置等なども見直しへ―入院・外来医療分科会(1)
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「要介護度が高い在宅患者への訪問診療の評価引き上げ」「高齢者施設への極めて頻回な訪問診療の評価適正化」など検討—中医協総会
2024年度診療報酬改定の基本方針論議続く、物価高騰対応の必要性言及を医療提供サイドは高く評価するが、費用負担者は効率化を強く要請
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2024年度診療報酬改定、「高齢者の救急搬送等」にどう対応すべきか、「かかりつけ医機能」をどう報酬で評価すべきか—中医協(2)
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入院医療における「身体拘束の縮小・廃止」のためには「病院長の意識・決断」が非常に重要―入院・外来医療分科会(3)
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医師働き方改革サポートする【地域医療体制確保加算】取得病院で、勤務医負担がわずかだが増加している—中医協総会(1)
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医師働き方改革のポイントは「薬剤師へのタスク・シフト」、薬剤師確保に向けた診療報酬でのサポートを―入院・外来医療分科会(4)
地域包括ケア病棟で救急患者対応相当程度進む、回復期リハビリ病棟で重症患者受け入れなど進む―入院・外来医療分科会(3)
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急性期一般1で「病床利用率が下がり、在院日数が延伸し、重症患者割合が下がっている」点をどう考えるべきか―入院・外来医療分科会(1)
総合入院体制加算⇒急性期充実体制加算シフトで産科医療等に悪影響?僻地での訪問看護+オンライン診療を推進!—中医協総会
DPC病院は「DPC制度の正しい理解」が極めて重要、制度の周知徹底と合わせ、違反時の「退出勧告」などの対応検討を—中医協総会
2024年度の費用対効果制度改革に向けた論議スタート、まずは現行制度の課題を抽出―中医協
電子カルテ標準化や医療機関のサイバーセキュリティ対策等の医療DX、診療報酬でどうサポートするか—中医協総会
日常診療・介護の中で「人生の最終段階に受けたい・受けたくない医療・介護」の意思決定支援進めよ!—中医協・介護給付費分科会の意見交換(2)
訪問看護の24時間対応推進には「負担軽減」策が必須!「頻回な訪問看護」提供への工夫を!—中医協・介護給付費分科会の意見交換(1)
急性期入院医療でも「身体拘束ゼロ」を目指すべきで、認知症対応力向上や情報連携推進が必須要素—中医協・介護給付費分科会の意見交換(2)
感染対策向上加算の要件である合同カンファレンス、介護施設等の参加も求めてはどうか—中医協・介護給付費分科会の意見交換(1)
要介護高齢者の急性期入院医療、介護・リハ体制が充実した地域包括ケア病棟等中心に提供すべきでは—中医協・介護給付費分科会の意見交換
2024年度の診療報酬に向け、まず第8次医療計画・医師働き方改革・医療DXに関する意見交換を今春より実施—中医協総会
2022年度改定での「在宅医療の裾野を広げるための加算」や「リフィル処方箋」など、まだ十分に活用されていない—中医協(1)