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コロナ対策に尽力する病院経営を維持するため、税金等の納付猶予期間延長、設備投資への税制優遇などを―四病協

2021.8.30.（月）

新型コロナウイルス感染症が猛威を振るう中、医療提供体制の維持・確保のためには「病院への税制支援を行い、病院経営を維持する」ことが必要不可欠である。例えば、「コロナ感染症で経営難となる税金等を納付困難となった場合の猶予期間を、現在の１年以内から延長する」「感染症対策への予定外かつ緊急に必要な設備投資が増加している点に鑑みた税制優遇を行う」などの支援を行ってほしい―。

日本病院会・全日本病院協会・日本医療法人協会・日本精神科病院協会の4団体で構成される四病院団体協議会（四病協）は8月20日、こうした内容を盛り込んだ「新型コロナウイルス感染症対策に係る緊急税制改正要望」を田村憲久厚生労働大臣に宛てて行いました（日病のサイトはこちら）。

四病協では、あわせて「令和4年度税制改正要望の重点事項」も田村厚労相に示しており、こちらは別稿で報じます。

「2年連続で純資産300万円未満となった」場合の財団法人解散規定、適用猶予を

新型コロナウイルス感染症の猛威は衰えるところを知りません。4度目の緊急事態宣言が発せられましたが、全国各地で感染者の急増が続いており、医療提供体制の逼迫が生じています。このため緊急事態宣言の対象地域・期間が延長されており（「8月末日まで」から「9月12日まで」に延長）、そうした中では、改めて「感染防止策の徹底」と「医療提供体制の確保」が継続した最重要施策となります。

四病協では、医療体制を維持・確保するためには、医療機関の経営維持が重要であり、そのためには「医療機関に対する税制を含めた各種の支援措置が不可欠」と指摘。（1）税金等の納付猶予期間の延長（2）欠損金の取り扱い拡充（3）感染症対策のための設備投資・消耗品等支出への税制上支援（4）医療機関を運営する財団法人の純資産額による解散措置の緩和―の4項目を要望しました。

このうち（1）は、「コロナ感染症の影響で、税金や社会保険料の納付が一時的に困難になる場合の納付猶予期間」について、現行は「1年以内」であるところ、より長期間の猶予を認めるよう求めています。コロナ感染症の流行が我が国で本格化したのが、昨春（2020年春）ですが、1年超たった現在でも、変異株の発生などにより猛威は衰えるところを知りません。ワクチン接種が進んでいますが、コロナ感染症の収束・終息は見通せず、四病協では「事態の長期化が見込まれる中で、より長期間での納付猶予・延滞税免除を行ってほしい」と求めています。

（2）は、コロナ禍の臨時特例である「2020年2月から2022年1月までの間に終了する事業年度に限り、『欠損金の繰戻還付制度』が病院にも拡大されている」点について、▼期間制限の撤廃（感染症による経営悪化はいつでも生じうる）▼還付請求が可能な遡及期間を現在の1年から「5年」程度に延長する―ことなどを求めています。

また（3）では、コロナ感染症に対応するための設備投資（人工心肺装置、マスク、防護具）が増加している点に鑑みて、▼即時償却または税額控除▼償却資産税の全額減免▼消費税相当額の補助―などといった税制上の優遇を行ってほしいと要望しました。これらの投資は予定外であり、かつ喫緊の必要性に迫られて購入したものである点を四病協は強調しています。

さらに（4）は、「2年連続で純資産額が300万円未満となった場合、財団法人は自動的に加算手続きが開始される」という規定（一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第202条第2項）について、コロナ禍でも地域医療確保のために一定の役割を担っている「医療機関を運営する財団法人」について、5年程度の猶予期間を設けることを求めています。

（参考）一般社団法人及び一般財団法人に関する法律（抜粋）
第二百二条
2　一般財団法人は、前項各号に掲げる事由のほか、ある事業年度及びその翌事業年度に係る貸借対照表上の純資産額がいずれも三百万円未満となった場合においても、当該翌事業年度に関する定時評議員会の終結の時に解散する。