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ICU等勤務医を夜勤とすれば「翌日の医師確保」が困難に、宿日直許可を取得すれば「大幅な収益減」となり、病院経営は厳しい—日病協

2024.5.29.（水）

2024年度診療報酬改定では、「ICUやNICUの施設基準（医師常時勤務）」と「宿日直許可」との関係が整理された。しかし、ICU等勤務医について夜勤とすれば「翌日の医師確保」が困難となり、宿日直許可を得れば「大幅な収益減」となり、病院経営に大きな影響が出ている—。

5月24日に開かれた日本病院団体協議会の代表者会議で、大学病院サイドからもこうした声が出ていることが、会議終了後の記者会見で、仲井培雄議長（地域包括ケア病棟協会会長）と望月泉副議長（全国自治体病院協議会副会長）から明らかにされました。

医療機関の消費税問題、「課税→適切な還付」の仕組みを再度検討する必要あり

2024年度診療報酬改定では、「医師働き方改革の推進」が重要テーマの1つとなり、その一環として、特定集中治療室管理料や救命救急入院料などについて「ユニット内の専任医師配置」基準と「宿日直」との関係が整理されました。例えば特定集中治療室管理料では次のような整理が行われています（関連記事はこちらとこちら）。

●ICU1－4について、「治療室内に常時勤務する専任の医師」は「宿日直を行う医師ではない」「治療室勤務時間帯は、治療室以外での勤務・宿日直を併せて行ってはならない」ことを明確化する

●ICU5・6を新設し、こちらでは「治療室内に常時勤務する専任の医師」の中に「宿日直を行う医師」を含めることを認める

この点について、大学病院関係者から「ICUやNICUについて、多くの病院では、医師働き方改革の面では『勤務体制の変革（宿日直許可の取得など）を進めなければならない』が、その場合には『低い点数区分の診療報酬（ICU5・6など）の所得』をせざるを得ず、結果、病院の収益が大幅にダウンしてしまう」という報告が行われました（関連記事はこちら）。

望月副議長も以前からこの問題を指摘しており、5月24日の記者会見では「ICUやNICUで夜勤等を行った医師は、翌日の昼までには帰宅してもらう必要があるが、この場合には人員確保やシフト設定が非常に難しくなる。かといって、ICUやNICUで宿日直許可を取得すると、診療報酬が大きく下がってしまう。非常に厳しい状況であるとの声が出ている」とコメントしています。日病協で状況を継続把握し、「対応方法などを検討していく」ことになるでしょう。

また仲井議長は「医療材料などの購入量が多い急性期病院では消費税負担も大きく、例えば『診療報酬への消費税【課税】 → 医療機関への適切な還付』を可能にする仕組みも含めた検討が必要である。まずは消費税負担の実態に関する調査、具体的には病院の機能別等に『控除対象外となっている消費税』（いわゆる損税）の実態を把握していく必要があり、近く調査を行いたい」との考えを改めて表明しています（関連記事はこちらとこちら）。